旅のこと(二日目・日田)

九州新幹線と特急を乗り継いで着いた先は、日田です。日田は水のおいしい場所で古くからの造り酒屋や醤油工場などが多く残っています。私の目的は山奥にある集落、小鹿田焼きの里です。以前私のFacebookでも投稿した小鹿田焼きのことを調べた記事をご紹介します。長いので飛ばしていただいても構いません。****************************************************小鹿田焼は大分県日田市皿山という集落の10家族が窯元として作っています。10家族は全員親戚で様々なことで支えあって、決定事項は相談して決めています。また、焼き物の全工程をここで採れるものと自分たちの力でまかなっていて究極の地産地消のかたちがありました。以下、小鹿田焼陶芸館でメモってきたことまとめ〈小鹿田焼ができるまで(全工程)〉1.原土の採取作業場の近郊で採取します。2.原土の乾燥大きな塊は木槌でこぶし大の大きさにして、天日で乾燥させます。3.唐臼による原土の粉砕水流を利用した唐臼で更に細かくします。20日~30日で粒子状になります。4.水簸(すいひ)粒子状になった原土に水を加え、カワボウで攪拌する。できた泥水をふるいで何度も濾す※カワボウ:平たい部分がある棒。5.水抜き「オロ」と呼ばれる濾過槽で水抜きする。天日や窯の上で乾燥させると陶土となる。※土作りは女性の仕事、成形は男性の仕事です。6.成形成形には蹴轆轤を使用する。作品の大きさにより手法を変える。「引きづくり」 小さいものに適する「玉づくり」 皿、急須、茶碗など「紐づくり」 大皿や壷など大きなもの7.乾燥成形が終わった器はサライタに載せ、家の前の「ツボ」で天日乾燥する。8.鉋、化粧土による装飾「飛び鉋」「刷毛目」「櫛描き」「指描き」などが代表的な装飾手法。蹴轆轤を回転させながら行う。9.施釉「打ち掛け」「流し掛け」など。基本的には柄杓で掛ける。10.素焼き小物や濃い釉薬の作品には素焼きを行う。割れや釉薬が飛んでしまうのを防ぐ。※初期の頃はこの工程はなかった。11.焚き物の準備薪を採取、乾燥させる。窯を温めるのに使うのは古材を、焼成にはスギを使用する。12.登り窯による焼成薪を使った登り窯で焼成する。窯詰めは棚詰めで、全部入れるのに2日はかかる。火を入れてから約30時間、夜通し焚き続ける。焚き終わるとレンガや赤土で火口を塞ぎ、3日ほどそのまま冷却し、窯を開ける。作品を取り出して終了。小鹿田焼は300年以上続いています。一子相伝で今の今まで伝統が引き継がれてきました。柳宗悦により広められ、また、この伝統を守る提唱をされ今までこのように全工程をこの場所で、という手法が守られてきました。釉薬までここで作り、また、唐臼を作る専用の大工さんまでいるのとこと。集落全体で50程ある唐臼の音が鳴り響き、川と土と共に生きている人々の生活は私にとってはとても美しく感じました。工房の中は自然からできるものしかありません。道具はすべて手作りです。修繕ももちろん自分たちの手で。工房を見せてもらって、あまりに無駄なものがなくてびっくりしました。ものすごく簡素できちんと整理されている。こんなシンプルな場所からあんなに素敵な器が生まれるなんて。決して便利な生活ではないでしょうが、便利なものがないとここまで美しい場所でいられるのだなと感動しました。***************************************************************日田駅前からバスに揺られること30分程で皿山に到着します。途中、コンクリートに覆われてない水路や、鬱蒼と茂る森に興奮しつつ。
着くとすぐ美しい皿たちが歓迎してくれました。
唐臼です。これで土の塊を砕いてさらさらの状態にします。自然エネルギー100%。音は牛が鳴く音と似ています。
唐臼小屋の内部はこうなっています。
すいひ
オロ
窯の上で乾燥中です。
ここに土を入れて乾燥させます。いろいろな乾燥の方法があります。
手打ちそばを食べつつちょっと休憩。この丼、そばを入れると一層美しいです。
工房をちょっと見学させてもらいました。道具はこれだけ。すべて天然素材、手作りです。
登り窯と山の緑。ため息がでます。熊本で現地価格はほんとに安いから買いすぎ注意だよって言われてましたがまー、買いました。信じられないくらい安いのと、素敵なものばかりだったのと。この日買った器に関してはまた別の時にご紹介させていただきます。名残惜しいですが、皿山を後にしてホテルへと向かいます。日田の市街地は次の日に控えた河開きのイベントで前夜祭状態でした。
日田焼きそばのお店でもあたりまえのように使われている小鹿田焼き。
ホテルからこの川が見えます。夜景がすてき。
日田焼きそばに並んで有名なのが高菜巻き。納豆、山芋、ねぎが入っているそうです。高菜巻きを少しつまみつつ、地元の日本酒でひとり浴衣でおつかれさま会をしました。三日目の旅に続きます。

ヒナタノ食堂

こころとからだと地球にやさしい、オーガニックフードを提供しています。